THE FUTURE IS NOW

座談会01 子どものころ、映画『アポロ13』を見てNASAの管制員に憧れた若き日本の“ジーン・クランツ”たち。

JAMSSでは新卒採用、経験者採用にかかわらず、入社2年目には、現場に配属されます。ISS(国際宇宙ステーション)の日本実験棟「きぼう」で活躍する宇宙飛行士を彼らがサポートしています。若い彼らに仕事の「やりがい」について語ってもらいました。

宇宙飛行士から「とても作業のしやすい計画だった」と労いの言葉をかけてもらうと、これは唯一無二の仕事だとやりがいを感じます。

─ 仕事をしていてどんなときに楽しさや喜びを感じますか?

座談会 「きぼう」運用管制員編

─ 仕事をしていてどんなときに楽しさや喜びを感じますか?

永瀬ISS(国際宇宙ステーション)に滞在している宇宙飛行士とそれを支える地上の管制業務の活動計画を立案したり、国内外の調整をしたりしているのですが、実際に立案した計画に沿って作業してもらって、終わった後に、宇宙飛行士から「とても作業のしやすい計画だった」と労いの言葉をかけてもらうと、これは唯一無二の仕事だとやりがいを感じます。

鈴木去年の5月、「こうのとり」5号機がISSへ物資の補給にきたとき、新しい実験装置を「きぼう」に取りつけ、「きぼう」についている古い実験装置を回収する作業があり、かなり大がかりなロボットアームの運用になりました。NASAのロボットアームと「きぼう」のロボットアームが連携する複雑な運用だったのですが、1年前からNASAのチームと調整して、結果として何も問題なくきれいに計画した時間通りに終わったときは達成感がありました。

髙橋CANSEI(カンセイ)、FLAT(フラット)って、運用が定常化していることもあり、永瀬さんや鈴木さんのポジションと比べると、やりがいを感じにくいポジションだと思っています。安定した実験環境を提供することが求められる「きぼう」の運用では基本的に何事もないように運用しており、何かが起こったとしても何ごともなかったかのように対処するのが私たちの仕事であり、それはやりがいに直接的につながるものではないと個人的には思っています。ただ、こういうとツマラナイ仕事のように聞こえますが、安定した環境を提供し続けている責任は大きく、それを今も続けているのは、私たちの自信であり、誇りになっています。
 そういった中でも、宇宙飛行士とCANSEIやFLATの間で連携をしなければならないときに宇宙飛行士をまったく待たせずに作業をすると、「よしっ」て思うことがあります。また私がJ-COMを担当しているとき、宇宙飛行士が多くの荷物を保管場所に移す作業をしている最中にそのうちの1つの荷物が飛んで行ってしまったことに宇宙飛行士が気づかなかったことがあって、それを伝えたら、「ああ、忘れていたよ、ありがとう」と言われて、すごくうれしかったです。宇宙では、たった一つの荷物が行方不明になることで、実験機会が失われることがあります。また、作業時間も限られているため、荷物の捜索などで余計な時間がかからないように宇宙飛行士も地上も気を付けています。このような環境で、ちょっとした宇宙飛行士とのコミュニケーションにより、宇宙と地上が一体となって仕事をしていることを改めて感じることができます。

大山平成27年4月入社して、管制員として認定されたのが平成28年6月末、運用経験はまだ2ヵ月くらいで、宇宙飛行士との連携作業をほとんど経験していないのですが、やりがいはこれから大きくなっていくのだと思います。ただ、学生のころからNASAは憧れで、自分が相手にすることはないだろうと思っていた方々と調整したりしているのは私にとってやりがいになっています。「きぼう」での実験を現場でサポートできることもやりがいを感じます。

「きぼう」は常に誰かが見守っていなければなりません。それができていることは誇りに感じるのですが、やっぱりときどきたいへんだなと思います。

─ 逆に辛かったことは何ですか?

座談会 「きぼう」運用管制員編

─ 逆に辛かったことは何ですか?

大山学生時代は何をやらかしても自分の責任。でも、会社では、チームやチーム間、他のポジションと常に情報共有し、状況を把握しなければなりません。その情報共有に慣れていなくて、その点で怒られることもあります(笑い)。

髙橋1日3交代制で働いているので、夜勤がけっこう辛いです。CANSEIの場合、1ヵ月に4日くらい連続でまわってきます。その間は昼間しっかり眠らなければならないのに、寝られない日が出てきてしまったりとか。このまえは、誕生日なのに夜勤に入っている人がいて、誕生日になった午前0時から働き始めて、朝9時に勤務は終わったものの昼間は寝ていて、何も楽しいことはなかったと言っていました(笑い)。友だちと一緒にいたくても予定を入れられないといったスケジュール的なコンフリクトもしょっちゅうです。健康管理を大切にしないと、体力的にも辛くなってきます。土日も年末年始も関係なく、常に誰かが見守っていなければなりません。それができていることは誇りに感じるのですが、やっぱりときどきたいへんだなと思います。

永瀬物事は作業されたらそれで終わりになるのですが、計画の立案は、賽の河原で石を積むようなもので、立てては崩れ、立てては崩れる。特に、ISSではいろんな国の思惑やスケジュールが絡み合うので、我々だけではなく、他の人たちの作業の進捗によって我々の作業が遅れることが頻繁に起こります。頑張って作り上げた計画が何事もなかったかのようにまっさらになってしまうときは、この業種ならではの辛さを感じます。でも、それは同時に面白さでもあるのです。それをどうやってリカバーしていくかがプランナーの腕の見せ所でもあるので。

鈴木2週間後のことでも、5分単位でスケジュールを組まなければなりません。いったん案を作っても、予定を5分ずらすだけでもすさまじい労力がかかる。まず「きぼう」の管制員で合意をとって、さらにNASAにあげて世界各地の管制局と合意をとるというのを毎日毎日ひたすら繰り返されているのはたいへんなことです。

座談会 「きぼう」運用管制員編

ISSの運用では、顔が見えない人と声だけでやり取りをすることが多いので、声色と「ありがとう」という言葉を大事にしています。

─ 管制員として仕事をするうえで必要なことは何ですか?

一同コミュニケーション能力(笑い)。

永瀬一匹狼では生きていけません。ポジションがいくつもあって横の連携が大事なので、コミュニケーションができないと自分の仕事にも支障が出てきます。あとは英語力。英語はベースが高いほどいい。入社前にできることはやっておくといいでしょう。

髙橋発音や文法がそれほどできていなくても、コミュニケーション能力が高い人はなんだかんだで通じているのです。その意味では、人と話すことが好きだったりするのは大事なのではないでしょうか。

永瀬前の職場では、自分たちの仕事の結果をお客さんに説明する機会が多々ありました。その折衝というシチュエーションが今に生きています。お客さんの顔色を見て、状況把握能力や駆け引きはうまくなりました。

鈴木実際の運用では、待ったなしの状況で判断しなければいけないプレッシャーに置かれます。考える時間が与えられない中でベストの解を見つけて、一度判断した後でも状況が変わればそのときに適した仕事をしていく。ISSで面白いのはそれが刻一刻で変わっていくことです。それをこなしているうちにそのような能力も育てられるのかと思います。

髙橋父が転勤族だったので、どこでも友だちを作らなければなりませんでした。人と仲良くするためには、自分がどういう人間かを知ってもらうことが大切だと学び、自分から発信していくようにしていました。ISSの運用では、顔が見えない人と声だけでやり取りをすることが多いので、声色と「ありがとう」という言葉を大事にしています。辛いときでも暗い声を出さないとか。認定される前のシミュレーションで、宇宙飛行士とのループ(会話)の中で、私のため息が入っていたことがあり、「それは絶対ダメ」と言われました。

新しい機器の更新とともに、自分にも新しい知識を入れていかなければなりません。それが安心にも自分の自信にもつながります。

─ 普段、どのような努力をされていますか?

座談会 「きぼう」運用管制員編

─ 普段、どのような努力をされていますか?

鈴木認定は取れても、マスターになったわけではないので、そのポジションの技術を育てていったりとか。後は、ISSではリソースが限られているので、電力やスペースが足りないと、何かを犠牲にしなければなりません。ただ、このような犠牲を減らすために、効率化できる余地があると思っているので、そのポイントを常に探しています。

大山情報取得を私の中では頑張っているところです。NASAやヨーロッパの新しい機器や今まで起こった不具合について勉強しています。新しい機器の更新とともに、自分にも新しい知識を入れていかなければなりません。それが安心にも自分の自信にもつながります。

永瀬未だに英語をずっと勉強しています。日頃のルーティンワークの中でNASAの担当者と話すときは大丈夫なのですが、大きな国際会議でプレゼンをしてディスカッションをしていくときにまだまだ聞く力も話す力も足りていないと痛感します。

髙橋「きぼう」の中でも新しい機器が出てきました。私は通信機器に詳しくないので、仕事に生かせる知識を増やせたらと思っています。

多くの人が宇宙に遊びに行けるような環境を作りたい、そういう環境を支えたいと思います。

─ 最後にみなさんの夢を聞かせてください。

座談会 「きぼう」運用管制員編

─ 最後にみなさんの夢を聞かせてください。

鈴木会社に入る前は、映画の『アポロ13』を見て、単純に管制員になりたいと思っていました。その時点でひとつ夢は叶ったんですが(笑い)。

髙橋思い描いていたのと同じだったかはちょっと・・・(笑い)。

─ そのギャップを教えてください。

─ そのギャップを教えてください。

永瀬思ったより硬いなって。『アポロ13』ではジーン・クランツが肩肘ついて、「さあ、今日もやるぞ」という感じでしたが、実際はみんな前を向いて淡々とコンソールでモニターをしていたり。夢と実際の業務にギャップはありました。そこは日本特有の部分でもあるのかもしれません。

鈴木管制員は宇宙飛行士のように人格者で、しかも知識があって他人とのコミュニケーション能力にも長けていて、それも4、5年訓練した中でも選ばれた人しかなれないと想像していました。意外とあっさり配属されて、拍子抜けというか、ありがたみが薄れたというか(笑い)。

─ 鈴木さんはさぞかし優秀だったのでしょう(笑い)。話を夢に戻しましょう。

─ 鈴木さんはさぞかし優秀だったのでしょう(笑い)。話を夢に戻しましょう。

大山宇宙に人が住む環境を我々民間のレベルで作って、それに参加できたらと思っています。

髙橋選ばれた一部の人だけではなくて、多くの人が宇宙に行ける時代になるといいなと思っているので、かなり先のことですが、少しでも新しいプロジェクトの立ち上げにかかわりたいです。

鈴木子どものころ、スペースシャトルの毛利さんを見て、毛利さんもかっこいいんですけど、それ以上に大勢の人たちが管制室で喜び合っているほうが私はグッときました。多くの人が宇宙に遊びに行けるような環境を作りたい、そういう環境を支えたいと思います。

永瀬みんな共通していると思いますが、宇宙の会社に入ったからにはずっと宇宙にかかわっていたい。宇宙が好きだから来ているわけであって、これからは月や火星など、新しいフィールドに携われたらと思います。日本の民間宇宙企業にJAMSSありといえるような会社にしていくという気持ちがひとつ。もうひとつは、国際宇宙ステーションのような大きな宇宙プロジェクトで、新しい何かを作り上げたという達成感を味わうために頑張っています。

プロフィール

永瀬 泰宏
(ISS利用運用部主務)

2013年8月経験者採用。ポジションは「きぼう」で行なうミッションのタイムラインの立案、国際調整を担当するJ-PLAN(ジェイプラン)。

鈴木 悠人
(ISS利用運用部主務)

2014年7月経験者採用。ポジションは「きぼう」のロボットアームの操作を担当するKIBOTT(キボット)。

髙橋 櫻子
(ISS利用運用部主務)

2012年9月新卒採用。ポジションは「きぼう」の通信や電力制御を担当するCANSEI(カンセイ)と宇宙飛行士との交信を担当するJ-COM(ジェイコム)。

大山 晃季
(ISS利用運用部主務)

2015年4月新卒採用。ポジションは「きぼう」の熱制御や環境制御を担当するFLAT(フラット)。