THE FUTURE IS NOW

座談会02 最前線でグループを指揮し、次世代の主力となるスタッフを育成するJAMSSのニューリーダーたち。

JAMSSではグループに分かれて、ISS(国際宇宙ステーション)におけるさまざまな活動に携わっています。所属するスペシャリストをまとめてミッションを遂行している各グループのリーダーたちに、職場の雰囲気や若い社員の仕事ぶりなどについて語ってもらいました。

仕事や技術的な話をするときは、上司だからとか、部下だからとかという隔てなく、必要なところ、本質的なところを議論できます。

─ 職場の雰囲気や上司と部下の関係はいかがですか。

座談会 リーダー編

─ 職場の雰囲気や上司と部下の関係はいかがですか。

西澤職場での上下関係や人と人とのつき合いは話しやすい雰囲気で、壁がないというふうに考えています。仕事や技術的な話をするときは、上司だからとか、部下だからとかという隔てなく、必要なところ、本質的なところを議論できます。

岡田話しやすい雰囲気はあると思います。私がグループリーダーになって部下との関係がそうだというよりも、私と上長との関係においても、意見が言いやすい雰囲気があるからです。ただその分、自分の意見に責任を持たなければなりません。与えられた仕事をこなすというより、自分で課題を見つけて仕事をする会社です。

長谷川横のつながりがかなりしっかりしていまして、グループリーダーたちも情報共有をしており、全体を見渡して相談しながらやっています。私は運用管制もやっていますので、月の半分は席にいません。その間も状況を理解して他のリーダーたちがサポートする良い関係になっています。

─ 情報共有のために会議をされているのですか。

─ 情報共有のために会議をされているのですか。

西澤会議は合同で月に1回、部をまたがって実施するのですが、それよりも執務室が一緒なので、すぐに何かあれば声がけができます。

岡田部長・マネージャを中心に管理職間でも週に1回会議があり、そこで全体の課題を共有しています。自由に話し合える場として、活用しています。

女性が活躍しやすいということは、結果的に男性にも働きやすい職場にもなると思っています。

─ 女性が働く環境としてはいかがですか。

長谷川女性にとっても働きやすい環境だと思います。私は前職経験がありますが、これだけ女性が頑張っている、活躍している職場は珍しい。グループによっては半数が女性というところもあります。女性が活躍しやすいということは、結果的に男性にも働きやすい職場にもなると思っています。

岡田管制業務はシフト勤務のため、夜勤もあります。若い女性にとってそれは刺激でもあるかもしれません。一方で、家庭をもって子供もできると、ご主人のサポートにもよりますが、夜勤は厳しいと感じることもあると思います。私自身も夜勤の数を減らしてもらったりしました。限られた時間で高いパフォーマンスを出すことが求められており、実際にそれをみなさん実行しているという点では、働きやすさプラス自分の実力を発揮できる職場ではないでしょうか。頑張っていける環境を提供できているといえます。

西澤私のグループは16人で、そのうちの9人が女性です。その中の4人が小学校入学前の小さなお子さんがいて、子育てをしながら仕事をしています。そういう方でも時間短縮勤務、あるいは通常勤務をしながら仕事を続けているので、働きやすい環境にあると思います。夜勤や土日の勤務はありますが、その方の事情に配慮して、まわりがサポート、協力しています。

座談会 リーダー編

ワークライフバランスは重要です。プライベートが充実していないと、現場でも良いパフォーマンスが出せません。

─ この会社では男性社員が育休をとっている例もありますが、女性の社会進出のために男性社員ができることはありますか。

座談会 リーダー編

─ この会社では男性社員が育休をとっている例もありますが、女性の社会進出のために男性社員ができることはありますか。

長谷川まずは雰囲気作りでしょう。育休の普及もそうですが、業務に制限が出ることに対して、それが当たり前だという雰囲気をまず我々が率先して作ることに気をつけてやっています。あと、声かけですね。「大丈夫?」と声をかけて、無理していると感じたら、ちゃんと休憩をとらせる。これは常日頃から考えています。

岡田ワークライフバランスは重要です。プライベートが充実していないと、現場でも良いパフォーマンスが出せません。育休をより取りやすくするためにも、グループでバックアップできるように今後さらに考えていきたいです。

西澤バックアップ体制は確立しているのですが、ひとり休んでしまうと、みんな担当業務が多いので、3つ4つの業務に支障が出てしまう場合もあります。残業で対応せざるを得ない場合もあるので、リソースを確保すること、確保したうえで休みやすい雰囲気を作っていく、環境を整備していくことはこれからもやっていかなければいけないことです。

─ プライベートのおつき合いはいかがですか。

─ プライベートのおつき合いはいかがですか。

西澤食事に行ったり、夜、飲みに行ったりとかはあります。昼も一緒にランチに行くことがあります。

長谷川プライベートの交流はけっこうやっているようです。「バーベキューに行きました」というような話はけっこう聞きますので、みなさんそれなりにプライベートのつき合いをしているようですね。きっと、仕事以外の相談もやっているのではないでしょうか。

岡田若手の職員は、プライベートの交流もあると思います。私自身も、若手の頃、会社の同期や他社の方とプライベートでも交流していましたし、今はそのネットワークが生きて、仕事もしやすいです。結婚して子供ができると、なかなか独身のときのようなつき合いはできませんが、機会をみて継続しています。

いろんなバックグラウンドをもった人たちが集まっています。宇宙のあるゴールに向かって一つのチームとして働いている。

─ 職場の良いところ、悪いところはありますか。

岡田良いところ悪いところというより、業務の特徴と言えますが、ISSの仕事はとても大きく、自分ひとりの考えは通りません。いろんな人と調整してコンセンサスを形成し結論に進む。すぐには結果が出ず、根気強さが求められます。

長谷川良いところは和気あいあいとしていて、コミュニケーションは非常にいいです。同じ目標に向かって頑張っていることも良いところでしょう。

西澤宇宙をキーワードにしてつながっている。いろんなバックグラウンドをもった人たちが集まっています。エンジニアだけでなくて、中には看護師さんもいるし、運動の専門家もいるし、それからサイエンスの専門家だとか、色々な人たちが宇宙のあるゴールに向かって一つのチームとして働いている。さらに、関係協力会社の人たちも同じ職場で働いている。そこも横のつながり縦のつながりがある環境は、ここ以外、世界を探してもないと思います。

長谷川みなさん目標がはっきりしていて高い。高い次元で融合している職場です。決まったことをしているのではなく、毎日、変化していく状況に合わせて協力してやっているし、説明しなくてもみなさん理解している。だから、言葉少なく意思疎通できるすごい職場です。

─ 岡田さんはJAMSS初の女性管理職ですが、プラスの面や逆にプレッシャーがあったら教えてください。

岡田プラスの面は、女性のネットワークをうまく使えるところです。男性にも話せますが、女性にはより話しやすい場合もありますので。プレッシャーは特に感じませんが、「女性初」というワーディングでくくられてプレッシャーを与えられることがよくあります(笑い)。部下の方も若くて、逆に勇気づけられることが多く、とても恵まれていると思います。

最近入社の社員はみなさん目的をもってきていますし、志も高いので、「ゆとり」を感じることはないです。

─ 「ゆとり世代」といわれていますが、最近入社してくる社員をどう思いますか。

座談会 リーダー編

─ 「ゆとり世代」といわれていますが、最近入社してくる社員をどう思いますか。

長谷川世間が言うほど感じていません。みなさん目的をもってきていますし、志も高いので、「ゆとり」を感じることはないです。

岡田自分が入社したときよりも優秀だと思うくらい、即戦力として活躍されていますし、みなさん目的もはっきりもっています。自分が入社したころはISSの運用が始まっておらず運用準備の段階でしたので、仕事の進め方にもある程度の余裕があったのですが、今は運用が進む中、みなさんとても集中して仕事に取り組んでいます。

西澤自分の意見をもって主体的に動いている人が多いです。宇宙飛行士の訓練インストラクターや管制員は認定制度になっていて、長いと2年や3年かけて認定するのですが、JAMSSの新人には入社して1年で認定を受けた人もいます。

─ 新卒採用の現場では、ここ数年、女性の学生さんのほうが元気でハキハキしている印象があるのですが、職場ではどうですか。

─ 新卒採用の現場では、ここ数年、女性の学生さんのほうが元気でハキハキしている印象があるのですが、職場ではどうですか。

西澤有人グループは女性が多いのですが、アクティブな女性が多いです。既存の枠にとらわれずに、新しいことにどんどんチャレンジしようとしています。これまでの訓練のやり方ではなくて、私なりの個性を出してこうしたいとか、別のことをやってみたい、失敗してもやってみたいという姿勢があります。

岡田男女の差はそこまで感じません。これをぜひやりたいという具体的なゴールをもちつつ、かつ、与えられた業務もしっかりこなすという姿勢はすごいと思います。

長谷川男女のバランスとしては、お互い切磋琢磨できるレベルにきているのではないでしょうか。

「仕事が楽しい」「やりがいを感じる」、そのように思ってもらえるような職場の環境づくりがグループリーダーとして果たすべき役割と思っています。

─ どのような点が部下の評価基準になりますか。

長谷川課題に関する達成度、あとは仕事に取り組む姿勢です。横や縦のつながりを把握したうえでできているかということを評価しています。将来的にはリーダーを目指してほしいので、その土台となるように指導しています。課題に対する自分の立ち位置(役割)がわかっていて、相手との距離感(状況把握)がわかっている人は仕事がスムーズにできると思います。いくら知識やスキルがあっても、状況に応じた適切な情報を相手に伝え、理解してもらわなければ意味がありません。

岡田自分が先頭を切って問題解決をする気持ちをもっていないといけません。次の課題を認識して、それを解決できたかというところが評価のポイントです。

西澤中長期的なゴールと短期的な具体的な目標を設定してもらい、達成できたかどうかが評価のポイントです。やはり、自己分析、自己評価ができる人が仕事のできる人だと思います。その結果、できていないことがあれば、解決策まで提示することが宇宙の世界では求められている人です。知識やスキルも評価しますが、何よりもチームとして協調して作業できる人が重要で、こういったノンテクニカルスキルの部分を訓練や運用の中で評価しています。

─ 最後に夢や目標を聞かせてください。

長谷川この業界に飛び込んだ理由は、新しい世界を見てみたいと思ったからですが、これこそが私の夢でした。実際に飛び込んでみると、今度は深宇宙探査などが次の夢(目標)として見えてくるのですが、その実現までは距離だけではなくて年数的にもかなり遠いと感じます。この壮大な夢の実現においては、自分がやったことはワンステップであり、次の世代の人は次のステップを踏んでいくという長いリレーのようなものになるでしょう。だからこそ、土台をしっかり作っていくことが大事と感じていますし、今やるべきことを着実に、確実に積み上げていきたいと考えています。

岡田部下の方々が、「仕事が楽しい」「やりがいを感じる」、そのように思ってもらえるような職場の環境づくりが自分の使命、もしくはグループリーダーとして果たすべき役割と思っていますから、それを実現するために日々頑張っています。

西澤二つあります。ひとつは月や火星など、やはり次につなげていくことです。宇宙ステーションの運用や訓練は、一般に還元できたり、社会に役立てたりする技術が詰まっています。これらの技術の民間への転換も少しずつ始めていますが、もうひとつは、この社会に役立てる技術を拡大していくことです。

プロフィール

長谷川 仁志
(ISS利用運用部
フライトディレクタG)

2007年11月経験者採用。「きぼう」日本実験棟の運用管制チームのリーダーであるJ-FLIGT(J-フライト)、船内活動支援担当のARIES(アリーズ)、ロボットアーム運用担当のKIBOTT(キボット)を擁するグループのリーダー。自身もJ-FLIGHTとして管制室でNASAやESAのフライトディレクタと調整を行う。

岡田 久仁子
(ISS利用運用部実験運用G)

1997年4月新卒採用。電力・通信系を担当するCANSEI(カンセイ)、環境・熱制御系を担当するFLAT(フラット)や「きぼう」に搭載される実験装置の管制員を擁するグループのリーダー。「きぼう」で行われる多種多様な実験の計画や手順を作成し、実時間の運用にも従事。「きぼう」の実験運用を支えるグループを統率する女性初の管理職。

西澤 智
(有人宇宙技術部有人G)

1999年4月新卒採用。宇宙飛行士や管制員の訓練を行う。野口宇宙飛行士搭乗時の支援も担当した。現在、最年少のグループリーダー。グループには、宇宙飛行との交信を担当するJ-COM(J-コム)や、宇宙飛行士の健康管理、トレーニング担当者も抱え、様々な角度から宇宙飛行士を支えている。