ひとと宇宙を結ぶシステム・インテグレータ | JAMSS

現場の声No.01 有人宇宙システム部

2009 No.01 JAMSS Division report 有人宇宙システム部

有人宇宙システム部は「きぼう」の運用管理を担当している、 いわば地上で最も宇宙に近い部門です。今回、「きぼう」の運用管制を担当している、フライトコントローラー 野川副主任技師と、宇宙飛行士のインストラクター 醍醐技師に、現場の話や自身の将来のビジョンなど聞いてみました。

フライトコントローラー 野川副主任技師インタビュー 24時間「きぼう」の内部環境を見張っています。 

─まず現在担当されているお仕事について、教えていただけますか?

きぼうの運用管制業務を担当しているのですが、運用管制といっても担当システムによってチームが別れていまして、私は熱/環境を制御するチームに所属しています。
具体的には、熱制御という観点ではきぼうのシステム機器排熱のための循環冷却水やヒーターの監視制御、そして環境制御という観点では例えばきぼう内にある 空気の圧力・温度・空調・火災検知器などが正常な状態か監視制御している部門です。

システム機器の監視・制御ということで即座に対応が必要なため、24時間3交代で勤務に入っております。通常の運用管制業務として地上から宇宙ステーショ ンに対して定期的なメンテナンス作業などのためにコマンドを送信して機器を制御しテレメトリで状態を監視するのはもちろんのこと、その際に使用する運用手順作成や修正さらには所掌システム運用計画作成なども併せて行っています。

─管制官とは有人宇宙システム部で何人位おられますか?

全体では約60人位おりまして、うち10数名というところでしょうか。大体30代が中心です。

─熱環境の制御を担当との事ですが、他にどんなチームがありますか?

他には、通信・電力系担当、宇宙飛行士と直接会話をする交信担当、船内活動担当、ロボットアーム担当、運用計画調整担当、地上設備担当、ペイロード運用担当、そしてそれらをまとめるフライトディレクターという責任者がいます。

─宇宙飛行士の生命を守る立場という事になりますね。

そうですね、他のシステム担当に比べて例えば火災・急減圧などのに緊急時に対応するチームということで宇宙飛行士の生命にダイレクトに関わるところなので、すごい責任を感じていますね。

─当然問題の発生に備えて準備をされているのですね?

そうですね、あらゆることを想定して、膨大な数の手順を使いながらシミュレーションで訓練しています。
そもそも、フライトコントローラーに認定される前に何十回と運用シュミレーションを行っていまして、特に不具合処置に対しては繰り返し訓練をし、何か問題点があればそれを手順にフィードバックするなど常に向上させるよう努力しています。

─管制官に必要なものってなんでしょうか?

全体の状況を瞬時に把握する能力ですかね。というのも国際宇宙ステーション(ISS)は日本以外の諸外国(アメリカ、ロシア、ヨーロッパ)も参加している、つまり同時に世界中の運用管制官が参加しているわけです。
その中で少なくとも自分の担当しているシステム機器は、きぼうはもちろん他のISSモジュールについても常に把握し状況を見ていかなければいけません。
そういう意味では当然英語の理解が必要になります。
各担当別にボイスループという専用の音声回線があって、全部で数だけでいうと100近い回線になるんですけども、その中でも常時8-10の音声回線をモニ タしています。当然同時に会話されることもあり、その中で自分に必要な情報だけを取捨選択し、また逆に情報を流します。

─今後野川副主任のような管制官を目指す人にメッセージを。

この仕事をやれることは極めて貴重なことです。先ず日本で有人宇宙の技術を使って運用しているのはここだけですし、とてもやりがいがあります。
それから、自分が宇宙開発を進めて行こうという意気込みが大事です。情熱を大事にして欲しいですね。

─最後に夢をお聞かせください。

現在のきぼうフライトコントローラーとして培った技術や経験を基盤に、月や火星の有人探査にも参加できればと、しかも国レベルからさらにすそ野を広げて民間レベルのプロジェクトに関われるといいですね。

野川副主任技師

有人宇宙システム部 フライトコントローラー
前職では通信衛星(CS)運用会社の運用管制部門に所属し、平成19年 JAMSSに転職。

「きぼう」の運用管制

ISS設置後の「きぼう」内部

訓練インストラクター 醍醐技師インタビュー 「きぼう」を利用する、宇宙飛行士の訓練をします。 

─まず現在担当されているお仕事について、教えていただけますか?

宇宙飛行士は各国が担当する機器の操作などの技術を習得するために世界をまわっていて、きぼうやHTVの為に日本に来た際の訓練を担当しています。
私個人で言いますと、与圧部を担当になります。熱環境が専門です。
宇宙飛行士が船内で快適に過ごすために必要なシステムを教えています。また緊急避難訓練も担当しています。

─他にどういう担当がありますか?

通信・電力系やロボットアームの訓練を担当するインストラクターがいます。
「きぼう」は主に実験をする為の場所ですので、宇宙飛行士が実験を行う為の訓練を担当しているインストラクターもいます。

─さきほどの緊急避難訓練は具体的にどのように訓練するのでしょう?

ここには実際の「きぼう」を再現したシミュレーターがありまして、実際に緊急時の状況を発生させて、手順書に従って行動できるまで訓練します。
宇宙では地上のように火災など起こったときに簡単に逃げ出すわけにはいきません。そのため被害を最小限に押さえ、宇宙飛行士の生命を守るためにいろいろな工夫が宇宙ステーションにはほどこされています。それらが手順書に書いてあり、緊急時にそれを見て適切な判断・行動がとれるよう訓練します。

─インストラクターを目指す上で必要なものは?

プレゼン力ですね。
宇宙飛行士は長年かけて複雑な宇宙ステーションというものを理解しています。そんな彼らにいかにわかりやすく覚えやすくシステムを教えるかが力の見せ所です。
ときには積み木や空き缶など使ったりすることもあります。宇宙飛行士にはハイテクと空き缶のギャップが忘れられない記憶になるのかもしれませんね。

─宇宙に行ったことないのに宇宙飛行士に教えているんですよね?

そうです(笑) 実際本物の「きぼう」を見たことはありませんが、膨大な写真や資料から「きぼう」をイメージして教えています。宇宙飛行士も地上で訓練しているうちは本物が見られないわけですから、私たちがあたかも本物が目の前にあるように説明して理解してもらうこともインスタラクターの技量のうちです。

─最後に夢をお聞かせください。

今はかぎられた宇宙飛行士にしか提供できない訓練ですが、もっと多くの方に宇宙ステーションについて理解してもらえる訓練もしてみたいですね。そして将来、月や火星に行く宇宙飛行士にも訓練できる日がくればと願っています。

醍醐技師

有人宇宙システム部
訓練インストラクター

新卒での第ニ期トレーナーとして活躍中。

「きぼう」の操作のための宇宙飛行士訓練

企業情報 | 宇宙ステーション「きぼう」運用利用 | 安全開発保証 | 衛星利用 | 宇宙ビジネス | 現場の声 | 採用情報
関連サイト | サイトマップ | 個人情報保護方針 | サイトポリシー | お問合わせ

Copyright © 2011 Japan Manned Space Systems Corporation. All Rights Reserved/©宇宙航空研究開発機構(JAXA)

Photo by JAXA and NASA