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JAMSS社員が国際会議「The 16th IFAC Symposium on Analysis, Design and Evaluation of Human – Machine Systems」に登壇しました

2025.12.25

お知らせ

2025年11月に中国・北京で開催された国際会議「The 16th IFAC Symposium on Analysis, Design and Evaluation of Human – Machine Systems」において、当社の先端技術研究センターに所属し京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター特定講師も務める広瀬貴之がIFAC Technical Committee (TC) 4.1 Human Machine SystemsのVice Chairとして開会の挨拶を行い、会期中はパネルディスカッションにも登壇しました。

IFAC(International Federation of Automatic Control、国際自動制御連盟)は、1957年に設立された歴史ある国際学術連盟で、制御工学やシステム工学に関する研究・技術交流を推進し、産業・交通・宇宙など幅広い分野における自動制御技術の発展を支えています。その中で人間-機械系分野に関する技術委員会:TC 4.1は、人間と機械の協調により創出される安心・安全で豊かな技術、そして社会の姿を追求する重要な役割を担っています。

広瀬は開会の挨拶にて、本学会のテーマである人間–機械系を取り巻く環境が近年大きく変化していること、とりわけ 2022年の前回大会以降に生成 AI が急速に普及し、人と機械の関係性そのものを問い直す状況が生まれている点を述べました。また、このように急速に進む技術発展や社会の複雑化により、あらゆるシステムがこれまでにない形で相互に結びつく中で、新たな課題と可能性が同時に生じていることにも言及しました。こうした変化を踏まえ、広瀬は今学会が人と機械の協調のあり方を社会・技術的な枠組みの中で再考し、その理解を深める貴重な機会となるとの意義を強調しました。また最後には、登壇者、セッションチェア、査読者、運営委員、ボランティアなど、本イベントを支える多くの関係者への謝意を示すとともに、参加者の積極的な議論と実りある会合への期待を述べました。


開会の挨拶


パネルディスカッション


パネルディスカッションでは、「AI時代の人間と機械の共進化(Human-Machine Co-evolution in the AI Age)」をテーマに、AIの導入による人間と機械の関係性の変化や、安全性・バイアス・創造性など多様な観点の議論が行われました。この中で広瀬からは、主に以下の発言がなされました。

AIに創造性や柔軟性(臨機応変さ)を持たせられるかという議論にて
人間は安全の文脈ではしばしば不安定な存在と捉えられるが、実際には環境と能動的に相互作用しながら状況を理解し、柔軟に適応するという独自の強みを持っている。このような「ゆらぎ」を含む人間特有の判断や行動の仕組みは、深層学習のような静的データを基盤としたアプローチとは本質的に異なり、変化の激しい環境に適応するうえで重要な役割を果たしている。

AIの発展により人間の存在意義が薄れる領域も出てくるのではという聴衆からの質問に対して
現実には「わずかに不完全な自動化」が広く存在しており、こうした「高度だが 100%には届かない自動化」こそ、最も慎重な設計と運用が求められる。そしてここでいう「100%の自動化」とは、歩行者や天候といった環境要因までも完全に制御することに等しく、そのような人間をはじめとした変動要因を完全に排除した自動化の実現が極めて困難であることは想像に難くない。したがって、人と機械が協調しながら安全性と信頼性を確保する仕組みは今後も不可欠であり、AI がどれほど高度化しても、このテーマの重要性は揺らぐことがない。


広瀬のコメント
IFACという由緒ある場での開会挨拶や、パネルディスカッションの登壇者を任されたことは身に余る光栄であり、本学会が盛会のうちに終了したことを大変うれしく思います。冒頭あいさつでも述べた通り、人と機械の関係性を取り巻く環境はここ数年で大きく変わりました。これほど技術が発展した今の時代だからこそ、改めて我々人間という存在 ― ひいては人間のまだ見ぬ可能性を見つめなおし、人と技術の協調による安心・安全で豊かな技術や社会づくりを考えていかなければなりません。
宇宙業界にとどまらず、現代の社会を支える多くの技術や仕組みは、ヒト・モノ・コトが複合的に絡み合い機能する「社会・技術システム」として進化を続けています。こうしたシステムの安全性を確保し、その価値を最大限に引き出すことは、JAMSSが専門とする有人宇宙活動のみならず、急速に発展するAIや自動運転、IoTなどさまざまな先端分野においても不可欠です。JAMSSは「ひとと宇宙を結ぶシステムインテグレータ」として、今後も国際的な技術交流を積極的に推進し、宇宙利用をはじめとする幅広い分野・領域で、安全性・信頼性向上に貢献してまいります。

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